「利用者支援って 難しいなぁ・・・」
【利用者情報】
59歳 女性
疾病:アルコール依存症、アルコール性精神病
【入所に至る経緯】
20歳頃から飲酒が始まり、特に失業時に多飲酒になっていた。職場をいくつか変えながら就労を続けていたが、仕事のミスをきっかけに精神不調をきたし就労困難となる。
その後、飲酒によるアルコール依存症・肝機能障害・急性アルコール依存症などで入退院を繰り返す。入院中の病院の主治医より、入所施設であれば退院可能であると診断を受け、入所の運びとなる。
【入所後の状態】
入所後しばらくすると、夜間帯に他利用者さんの部屋に勝手に入って行き、物を物色する行為が続きました。他の部屋の利用者さんが、深夜に無断で部屋に入ってきたご本人のことを教えてくれたことが発覚のきっかけでした。その際、教えてくれた利用者さんは押し問答の末に腰椎圧迫骨折の怪我を負ってしまい、約1か月半回復に時間を要しました。
入所に至る経緯より、元々アルコール依存症を患っており専門病院に通っておられたため、アルコールによる脳へのダメージがそうさせているのかと、当初、職員は思っていました。ご本人の様子も変わらず、他にも多くの利用者さんにも影響が出ているため入院の運びとなりました。
【入院中の状態】
入院してからより症状が悪化し、他の患者さんの物を物色、盗ってしまうことが多くなり個室対応となりました。それでも症状が改善されず、現在は生活に必要なものしか置いていない病棟へ移動となりました。新しい環境ではトイレに色々な物を流してトイレが詰まるなど、新たな問題が発生し対応に苦慮されています。
【感想】
職員は、入院後にご本人の状態が悪化したように思っていましたが、後日、ご本人の持ち物を整理していた際、他利用者さんの持ち物がたくさん発見されました。それを発見した時、以前から同様の行為をしていたことが分かりました。そして、職員が知らないところで他利用者さんに大変迷惑をかけていた事に気づきました。申し訳ないという気持ちと改めて利用者支援の難しさを痛感した出来事でした。
現在は、ご本人にどのような支援が適しているのかという壁に当たっていますが、医師・看護師・PSWや実施機関の協力を得ながら、ご本人の今後を考えていきたいと思っています。